今更だけど昨晩空青を久々に見ていたら、映画館で見たときには気付いていなかった楽器類について、今になって楽器を少しだけ触り始めたことで、いくつか気付いたことがあったので書いてみたい。
とはいえ、当時パンフ買い忘れたし、関連書籍などを読んだこともないので、公式で触れられている話題だったらどんまい(´>ω∂`)ということで……
※ 楽器そんなに詳しくないのでデタラメなやつ
※ めちゃくちゃネタバレを含みます
「空の青さを知る人よ」は、2019年に公開されたアニメーション映画だ。
進学を決める時期なのに勉強そっちのけで大好きなベースを毎日練習している高校2年生のあおい、そんなあおいを心配そうに見守る姉のあかね、あかねのかつての恋人で高校を卒業して以来13年ぶりに演歌歌手のバックバンドのギタリストとして地元に帰ってきた慎之介、さらに、13年前から時間を超えてあおいの前に現れた18歳の慎之介(=しんの)。4人の想いが交差しながら、秩父を舞台に物語が進んでいく。
1羽の青い鳥
主人公のあおいが劇中で使用しているのは、EpiphoneというメーカーのThunderbirdというベースである。
かつてEpiphoneは独立した1メーカーであったが、現在となってはGibsonの子会社となっており、Gibson社製のギター・ベースの廉価版をを主に製造販売している。このThunderbirdも元はGibsonのベースだったが、廉価版たるEpiphoneブランドでは新品でも6-7万円で購入できる。進学を諦めて就職し、あおいを育ててきた姉のあかねに対して遠慮しながらも、お小遣いを貯めてなんとか手を伸ばすのになんともリアルな価格帯ではないだろうか。
ところで、Thunderbirdというのは変形ベースの1種であって、少なくとも楽器屋に初心者が行って店員から勧められるような一般的なモデルではない。
単にベースに興味を持ったというだけでは、なかなか最初の1本として手を出すようなベースではないと思うだけに、Thunderbirdを購入する理由があるはずである。
もう1羽は赤い鳥
対してしんの(≠慎之介)が劇中で使用している通称「あかねスペシャル」は、GibsonのFirebirdというギター。
あおいがベースに興味を持ったきっかけは、幼い頃に姉のあかねと見ていたしんの達の練習にあり、しんのはあおいにとって音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人だ。
そして、名前の通り、ThunderbirdはFirebirdのベース版で、形状も似ており、姉妹機とも言える存在である。ただベースに興味を持っただけならあまり買わないようなThunderbirdをあおいが使っているのは、しんののFirebirdに対する憧れの象徴であり、あえてThunderbirdを選ぶにあたって、影響を受けていることは想像に難くない。
なお、劇中のセリフによれば、しんのはバイトをして貯金して購入したようなので、本家GibsonのFirebirdを購入しているという見方もできるだろうし、GibsonとEpiphone、親会社と子会社、本家と廉価版という違いによって、しんのを追いかけるあおいを象徴しているような気もしなくもなくなくない。いや、どっちだ。
「君、ベースだろ。なんで自分が目立とうとしてるの」と慎之介は言ったが、それこそギターのしんのに憧れてひとりで練習してきたから、でしょう。
白いセミアコ
めだまスターたちの鳥に対して、慎之介が使っているのはGibsonのおそらくES-335だ。
セミアコである本機は激しい曲には向かず、まるで演歌歌手のバックバンドの一員として生計を立てている慎之介を象徴しているようにも見える。
ただ、ここで慎之介が使用しているのがセミアコギターでなければ、もし、しんのが使っているようなソリッドギターだったら、ここまで生音は出ず、あかねに弾き語りを見せることはできなかったし、結果、高校時代のように笑うあかねをあおいが見ることもなかったのである。
赤い鳥に憧れ続けた青い鳥は、一緒に空を飛ぶ
ギターやベースといった楽器だけでなく、旧秩父橋での練習シーンで使用されているVOX amplug2 Bassや、お堂に置かれているMarshall MB15など、改めて見ると、実在のメーカーのロゴまでかなり細かく写実的に描かれていることに気付いた。ただ演奏する対象としての楽器というだけでなく、それ自体が伏線となっていくのは見ていて面白い。おそらくThunderbirdをあおいが使っているのは、そのあとのしんのに対する憧れの伏線だろうし、最後、空を飛ぶにはあまりに持ってこいな機種だった。
ここに書いたのはあくまで妄想だけど、楽器から見る空青はそれはそれで楽しかったし、きちんと楽器に詳しい人に見てもらってより解説を受けたいと思ったw